JOURNAL

2023.03.07春夏 仕立て上がりご紹介 【 ジャケット編 】

TAILOR SECOND HOUSE 大山です。


我々が春の訪れを感じる瞬間は、店内の生地の入れ替えが終わり、生地問屋さんから届く春の新物を並べるとき。

定番のラインナップと、トレンドを感じる新入荷の生地が混じり合う様は目に楽しく、お勧めしたいお客様の顔が頭に浮かびます。

お仕立てをするにあたり、避けては通れない部分が『 お客様との対話 』
最近の関心事から、ライフスタイルなど様々な角度でお話しを楽しませて頂いております。
ホームページに掲載する PRODUCT にご紹介しているお仕立て上りは、その対話に服地を掛け合わせて生まれた結晶の様なもの。

多様なバリエーションをご覧いただく事で、皆様の洋服選びの一助になれば幸いです。

ジャケット お仕立て3選 

ジャケットを3点ご紹介するにあたり、重要視したポイントは『 独特の素材感 』です。

秋冬特有の素材感の生地(起毛系やツイードなど)の良さもありますが、リネンやシルクの質感はやはり春夏の季節感を強く感じる素材。
今回の3選はその中でも、さらに一捻り加えた生地を使用したお仕立て。
実用性や仕立て映えも兼ねた観点から、生地のユニークな素材感をお伝えします。

そして折角お仕立てするのであれば、着回しのきくアイテムとしての汎用性も無視できません。
様々なシチュエーションで出動機会が多いほど、生活に寄り添えているという視点で大変嬉しく感じます。


では前置きが長くなりましたが、お仕立て3選お楽しみくださいませ。


CANONICO /  WOOL, HEMP & COTTON JACKET

Product Line MTM-H


紳士服で使用される生地が抱える問題。
知られるところでは原料調達のための乱獲や、染色時の排水における環境負荷など。
サステナビリティを考えるとき、洋服の製造過程も例外なく他の製造業と同列に扱われます。

今回のジャケットに使用した生地、CANONICOの H.O.P.E. はそのような現状に一石を投じる一枚。

紳士服生地で世界的に大きなシェアを持つCANONICOが、この問題に取り組むことは大きな意義があると感じます。
『 How to Optimise People and Environment 』の頭文字を取って名付けられた H.O.P.E 。


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LEOMASTER /  SUMMER TWEED JACKET

Product Line MTM-F

ツイードと言っても様々な種類が存在します。
ハリスやドネガルと言った実用性、耐久性に優れたものから、シャネルツイードのような多素材でゴージャスなものまで存在する幅広さが魅力。

LEOMASTERは1958年に創業し、これまで数々のイタリアブランドに生地を供給してきたメーカーです。
特徴はリネンやシルク、その他素材を巧みに使い織り上げる生地の独特な世界観。
大柄、複雑な組成のストライプ、そして今回のお仕上がりに使用したツイード感のあるものなどなど‥。
見て楽しく、タッチも楽しい、バラエティに富んだラインナップです。


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CANONICO /  WOOL, SILK & COTTON JACKET

Product Line MTM-F


春夏生地のイメージといえば何でしょうか‥強撚糸を使用した、通気性の良さそうなシャリ感のある生地。
モヘアやリネンを使用し、いかにも涼しげに織り上げられた生地も暖かな日差しに良く合います。

今作のジャケットに使用されている生地は、CANONICOのVINTAGE。

VINTAGEと言っても昔の生地というわけでなく、通常のラインナップとは違い凝った組成や素材使いなどがメインのペットネームになります。
ネーミングに違わず、ツイード感のあるボディはリネン×コットンにシルクをブレンドした三者混。

色味も彩度低いトーンに抑える事で、派手になりがちなチェック柄やシルクの光沢も程良く着地です。


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仕立て上がりに詰まった背景や、製作する際に力を入れたポイントなども含めご紹介いたしました。

全てのプロダクトに共通する想いとして、お客様のイメージを言語化し、具現化出来るよう一緒に楽しみたいと考えております。

「お似合いですよ」の言葉だけでは着心地は良くならないからこそ、ファッションの根底に洋裁技術が不可欠なのかもしれません。



次回のお仕立てご紹介は、『 シャツ&スラックス 編 』のお届けを予定しております。
どうぞお楽しみに。