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2024.05.30仮縫と肩イセと私 | MTM – H
今回は、”Made to measure(MTM)” について書き綴ってまいります。
日本語で表現すると、”イージーオーダー” と “パターンオーダー” の総称です。
ニアリーイコールですが、イタリア語ならば “SU MISURA (ス・ミズーラ)”という事にもなるかと思います。
MTM – House cut
当店には MTM のお仕立てコースは2種類あります。
・ MTM – House cut(インハウスでお客様毎にオリジナルの型紙製作)
・ MTM – Factory cut(縫製工場の型紙を使用してお仕立て)
インハウスとは “店内” のことを指し、『 採寸 → 型紙製作(デザイン・体型補正)→ 仮縫製作 』この工程を内製化するお仕立てコースが MTM – H になります。
オーダースーツに馴染みのあるは方は、驚く人も少なくないかと思います。
世間一般の感覚だと、MTM(イージー・パターンオーダー)は、当店でも展開する MTM – F のお仕立てコースを指すものであり、毎案件ごとに “オリジナルの型紙を製作” するお仕立てを “Bespoke(ビスポーク)” と呼ぶ認識だと思います。
私もその通りだと感じますし、製造業の観点でも、MTM では、毎案件ごとにオリジナルの型紙を製作するのは、2つの難しさがあると考えます。
① 型紙の製作を内製化するには、販売職のスキルと異なる専門的な技術が必要になる
② 縫製工場は毎回違う型紙を受け取るため、CADが使用出来ず、手裁断(人材と工数)が必要になる
このお仕立てコースを当店がお勧めする背景には、ビスポーク(フルオーダー)を強みにするお店である点と、これをもっと身近なメニューとしてお楽しみ頂きたい思いがあります。
そんな訳で、型紙製作と仮縫製作に日々追われる毎日を過ごしております。
本日の本題、”仮縫” と “肩イセ” の話し。
肩はもちろん、基本的に人は腕を前方向に動かすことで日々生活を送るわけでして
ジャケットを着た時も、この様な動作は必要になります。
これをストレスなく、スムーズに動かせるジャケットを “着心地が良い” という評価になるのだと思います。
こういった着心地を追求するテーラリング(仕立て技術)の一つに “肩イセ” があります。
肩線(肩の稜線にある縫い目)の前身頃に対し、後身頃の生地が 8〜10% 程度長く裁断し、これを同寸法に縫い合わせる技術が “肩イセ” です。
オリジナルの型紙と仮縫を製作するメリット
“肩イセ” を入れることにより、腕を前方向に動かした際に、後ろ側の生地に大きな “ゆとり” がある事によって、ストレスのないスムーズな動きを可能とします。
また型紙から仮縫の工程を内製化することで、特に新規でご来店お客様にとっては、”ご注文頂いて” 次お会いするタイミングが “ご納品” ではありませんので、
お客様は仮縫を試着頂くことにより、仕上がりのイメージや着心地を事前に確認することが可能となります。
私たちも、製図や体型補正の精度、並びに仕上がりの方向性を確認することが出来ます。
これはお互いにメリットが大きいと思います。
デメリットは、価格と納期がかかる事です。
当店では、MTM – H のメニューにおいて、型紙と仮縫のお代は初回のみの “イニシャルコスト” に設定しておりますので、2回目のご注文からは必要がない限り、お仕立て代と服地代のみ頂戴をしております。
【 MTM – House cut 】
Suit | お仕立て代(服地含む) ¥162,800〜 + 型紙・仮縫い代 ¥57,200
※ 2024年5月30日 現在価格
当店自慢のメニューです。
物作りやオーダー好きの方に、ぜひお勧めいたします。
音声コンテンツでも解説を配信
私たちが運営しておりますラジオ番組、『 Bespokemaker presents 屋根裏談義に腕が鳴る!』では、
4月29日配信回 #4 「 MTMの魅力とは?」にて、プロダクトの理屈を製造業という観点や職人の目線で紐解き、なるほど!をお届けしております。
配信は【 Spotify・Appleポットキャスト 】でご視聴頂けます。30分番組になりますので、ぜひ通勤時間のお供にお楽しみ下さい!
TAILOR SECOND HOUSE 中野俊
『 Bespokemaker presents 屋根裏談義に腕が鳴る! #4 MTMの魅力とは ?』
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