JOURNAL

2023.02.16特集 PRODUCTS 『 ディテールで楽しむ妙』

TAILOR SECOND HOUSE 大山です。

お仕立てをする際、必須項目としてディテール選びがあります。
お客様と一緒になってウンウンと唸りながら考えることもあれば、アッサリと決まることも。

今まで挑戦したことのないディテールには不安が募るのも本音だと思います。

普段とは違う組み合わせ。
普段とボタンの個数を変えてみる。

原理的な部分での掘り下げは抜きにして、
視点を変えることで生まれる妙があり、今回の特集ではその中でもアイコニックなものにスポットを当てていきます。

ディテール選びの楽しさとは

今回はスーツやジャケットのディテールに焦点を当て、お仕立て上り3作品をご紹介致します。

楽しくも悩ましい生地や裏地選びに加え、ディテール選びも重要なパートの一つ。
是非お仕立てのご参考にしていただければ幸いです。


CANONICO /  FLANNEL SUITS

Product Line MTM-F


CANONICO のS’120 ウーステッドフランネルでお仕立てした、ダブルブレステッドスーツのご紹介です。

秋冬の代表的な素材、フランネルですがメーカーによっても目付はもとより特徴も様々。

フランネルは縮絨させる製造工程の関係からやや重めの目付になりがち。

その点こちらの生地はしっかりとフランネルの表情も持ちながら、触ってわかるほどの薄さが秋〜冬の長い期間使用できる秘訣です。

仕様はダブルブレステッド+ノッチドラペル。
ダブルにはピークドラペルを合わせるのが主流ですが、ノッチドラペルを合わせることにより柔らかな印象を持ちました。


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WAIN SHIELL /  4B DOUBLE JACKET

Product Line MTM – F


WAIN SHIELL が誇る、春夏向けのスーツ生地 “BAHAMA”。
当店でも春夏向けでだけでなく、合物の服地として定番化しつつある逸品です。


理由は3PLY、290g/M程度のウエイトに裏打ちされたハリコシのある物性。
それに加えて程良く甘く織る事による通気性の良さも大変魅力です。

仕様は特徴的なフロントの4つボタンがポイント。
ラペルエッジの柔らかな膨らみの曲線と、ウエストラインから下の直線が共存するダブルブレステッド。
視覚的には縦のラインが強調され、ネイビーソリッドの生地も相まってシャープな印象です。


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WILLIAM BROWN /  TWEED JACKET

Product Line MTM – H


ツイードの産地と言えば、スコットランド。
有名な地域としてはハリスツイード、ドニゴールやチェビオットと名が挙がり、質実剛健なツイードを生産し続ける地域として確固たる地位を築いています。

WILLIAM BROWNの創業は1885年、100年以上の歴史を持つ老舗。
特徴としては発色良く仕上がっている生地が多く、今回の仕上がりもブラウンベースのグレンチェックにサックスのウインドウペーンが都会的な印象です。

ラペル部分はセミピークドラペル。
あまりメジャーではない衿型ではありますが、ピークドラペルほど襟の先(剣先)が尖っていないことから柔らかい印象を持たせることができます。


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ご紹介の3作品は、市場に出回るスーツの多数派とは一線を画しますが、ソースとしては今最近始まったデザインではありません。

コンサバティブなドレスクロージングだからこそ、微細な仕様の積算が全体への醸成感に繋がっていきます。
このバランス感をきっと世の中は、“モード” や “クラシック” という言葉で表現するのだと思います。

これはある種「 既視感の量 」を尺度に置き換えてみると面白いかと感じる今日この頃です。
ぜご注文の際は、勇気を振り絞り理想論を私たちにぶつけてみて下さい。

そんな壁打ち含め、一緒にお楽しみ頂けますと幸いです。