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2026.02.12伝統と革新が織りなす Scottish Fabric

MTM – House cut

今回の服地は久しぶりの作品事例であり、近年マーケットで拝見する機会が減った印象の服地メーカー Marton Mills の登場です。

まずこの生地は、とにかくスコティッシュ然としており、カーペットにも使用出来るのではないかと思わせるほどの糸番手と打ち込みが最大の魅力。

仕立て上がりにおいては、豊満な立体感がクラシック味を増幅させ、多色を撚り合わせたメランジの糸が醸し出すカントリーフェイスからマートンミルズのポジションと作品の世界観を先鋭化させると感じております。

既存のお客様からご注文の本作。「ビジネスシーンで着用を主眼に趣味性を楽しむ」そんなご依頼背景があります。
当店でご縁頂く前からオーダー経験が豊富かつ、英国贔屓の好みをお持ちでした。

毎シーズン、ご提案する服地をご用意しておくミッションを仰せつかっており、ある種、ワードローブをお預かりする大変名誉なことだと感じております。

そこで今シーズンは、重量級をご紹介するに至りました。

服地の目付は 520-540 g/m
ドレープとは対極に位置するボディは、おそらく20・30番台の太番手を低速で打ち込んだ毛羽の少ないツイード生地。


1931年設立 Marton Mills Co Ltd は、ウェストヨークシャーのワーフェデールに位置し、伝統的なヨークシャーの価値観を大切にする家族経営の織物工場。
スコットランド・タータン登記機関に登録されたクラシックな織柄を中心に、革新的なデザインや設備投資にも意欲的なブランドとしてコアなユーザーを獲得するブランドです。

【 SUITING 】


Marton Mills
Made in Scotland


WOOL 100%
Weight 520-540 g / m


2025 – 26 AUTUMU & WINTER
Fabric Price ¥68,000 +tax


別途 お仕立て代

PRODUCT LINE
MTM – House cut(MTM – H)

ご紹介の生地は、スキャバル・ジャパンが自主編集した「 UNDERSTATEMENT 」というバンチに収録されており、無地3色展開になります。

ミル物だけをラインナップした1冊の中でも、当店が唯一惹かれた服地がマートンミルズでした。

分類としてはツイードになりますが、ハリスツイードなどと同類と想像頂くと現物とはかなり乖離があります。一瞬、梳毛生地かと思わせる程に、毛羽(クリンプ)を丁寧にしまい込んで紡績された太番手の糸をしっかりと打ち込んで織り上げたボディ。

この低速織機は、まさにツイード領域を生業にする強みを最大限に活かした服地作りです。

濃紺無地も当店で現物保有しており、ラギットなジャケットをお探しになる方には非常に刺さる名品。
イギリスのメーカーでも似たような生地はありますが、ツイードならではの膨らみと、ツイードを超える密度は他社を寄せ付けない生地物性と評価しております。

本作のお仕立ては、お客様オリジナルの型紙を起こした MTM – House cut

型紙から製作する性質上、バストやウエストなど 0.5cm 刻みの調整に縛られる必要もありませんし、後身・細腹・前身頃などのバランスも個別にコントロールしてフィッティングを高めております。

そして袖付は “突っ込み袖” 、通称 “マニカカミーチャ” や “インセットスリーブ” などと呼ばれる、肩と袖山に丸みのある柔らかな印象が特徴。

型紙上でイセ量を設計して、毎案件、コンセプトに狙いをもってお仕立てしております。
突っ込み袖ではあるのですが、薄めの肩パットとフェルト1枚の裄綿を加えており、イタリア然としたマニカカミーチャとは一線を設けました。

腰パッチポケットにおいても、文庫本がすっぽり収まる大振りなサイズにすることで、ドレスルックの中に程よい無骨を演出。

パッチポケットのサイズを大きくするのは可能だが、程よい範囲というのが意外と難しいのです。
フロントカットとの兼ね合いもありますし、こういった変化を自由に加えられるのも型紙を起こす House cut のお仕立てコースならではと考えます。


今回のコンセプトは、HBO制作のドラマ「ダントンアビー」の世界感を現代的に落とし込むことを自分に課しました。

デザインもほぼ一任されておりますので、本件お客様との打ち合わせは、事前にご用意する数種の現物生地と、それぞれの有用性をプレゼンテーションする流れがお決まりです。

いかなる時期も3ピースでのお仕立てがマストのお客様に新たな一手として、初めて襟付きウエストコートをご提案。

スーチングではありますが、ジャケット・ウエストコート・トラウザーズそれぞれが独立してお使い頂く余地を残すことで、服地の世界観に配慮を示しました。

またメランジボディだが、チャコールグレーが故のカッチリ感も持ち合わす生地だからこそ、その日の気分やスケジュールでファッションをお楽しみ頂けたら嬉しく思います。

最後にもう一つ特徴なのが、裏地になります。
ウール&ベンベンルグ(キュプラ)の最高級品です。

主語大きい表現は、好みではありませんが、機能・高級感・色気ともに、抜群の生地物性です。

古くは、アルパカ&ベンベンルグの裏地がフルオーダー品の最上級と位置した時代がありまして、1980年以前と記憶しておりますが、時代を増すごとにアルパカの原毛コストが上昇することで廃盤となった伝説の裏地。

これを現代に復刻させたのが本件。
ウールの吸発散性と発色、キュプラの滑らかな肌触りの両面を持ち合わせます。
袖裏には不向きですが、当店では無地14色をご用意しておりますので、ご興味ある方はご相談下さい。

因みに、アルパカ&ベンベンルグの裏地も現物3色をストックしております 笑

この生地は、もの凄く癖とりのアイロンワークが入りやすく、こうして作例が増えるごとにスキルアップ出来ることも有り難く感じております。

古典は好きだがコスプレは苦手という嗜好の方は、ぜひ一緒にお洋服作りを楽しめたら嬉しく思います。現物、残り1着の濃紺無地もお勧めです。皆様のご来店をお待ち申し上げます。




FABRICS

情報が整い次第、掲載致しますので、お待ち下さい。