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2026.01.17Red List of License Fabric ふしぎ発見

MTM – Factory cut

皆様は”レッドリスト”という言葉を聞いたことがありますか?

正しくは、国際自然保護連合(IUCN)が作成した絶滅のおそれのある野生生物のリスト「 The IUCN Red List of Threatened Species 」


メンズドレスの世界にも似たようなことはありまして、今後マーケットがシュリンクするならば、釦や毛芯など価格や資材調達の難易度は更に上がる可能性があります。

今回ご紹介する作品は、そんなレッドリストとも言える服地を使用したスーツになります。

とは言え、悲観的な話でもありませんのでご安心を。


今回は、服地のふしぎを発見と製作背景のショートストーリーです。

私がこの業界に足を入れた2001年、既製品を含めアパレルでは、ライセンスブランドが非常に盛況でして、メンズドレス界隈の服地にも自社の名前を冠にした生地ブランドが数多存在しました。


例えば、Savile Row を代表するテーラー Gieves & Hawke : ギーブス&ホークス
フランスを代表するファッションデザイナー pierre cardin : ピエール・カルダン


など、本当に沢山ありまして、リーマンショックあたりから急速にマーケットの撤退が相次ぎました。
現行で展開するブランドですと、1889年にパリで設立された LANVIN : ランバンが代表的と言えます。


ライセンス生地の特徴は、生地クヲリティと世界観のセンスだと感じます。

なぜならば、ライセンス展開する時点で、マーケットに対しブランド・バリューに勝算があって参入しているのが前提になるので、ブランドの名前を冠にする以上、ブランドの意地と世界観があり、拍子抜けの生地クヲリティだった場合、ブランド・イメージを毀損するリスクがあるからです。


デメリットは、そのブランドが生地を織るメーカーではないため、生地がマーケットに届くまでのサプライチェーンに複数の企業の参画・助力が必要になり、ブランド・イメージも相まって、単純に価格が高いのが難点です。

ブランドの意地がある分、物性は素晴らしい生地が多いのですが、私は物性と価格が見合っていないと感じます。正直、ブランドのネームバリューには興味がないです 笑



結論、現在のマーケットでは、ほぼ撤退が完了しておりますので、流通在庫で見つけるとレアであり、物性も申し分ないですし、価格も値崩れしていますので、むしろお買い時と言えます。

好みに刺さる生地であれば、現物を買い付けるように努めております。


そして本作に採用した生地ブランドは…


S.T. Dupont : エス・テー・デュポン(仏)

発見した時は、本当に驚きました!

【 SUITING 】


S.T. Dupont(仏)

WOOL 100%
Weight 推定 340 g / m


Fabric Price 現物限り


別途 お仕立て代

PRODUCT LINE
MTM – Factory cut(MTM – F)

今回のボディは、フランスにて1872年創業のラグジュアリーブランド S.T. Dupont : エス・テー・デュポン
高級ライター・万年筆・革製品などが筆頭として名声があり、現在は総合アパレルブランド化している印象です。

本作の服地は、非常に滑らかな原毛、そして膨らみがありながらも拠り係数は甘くない糸作り、そして何よりチャコールグレーに近いグリーン色とピンヘッドのバランスが絶妙で、横糸が表情に上手く絡んだ逸品。

遠目にはビジネスライクな無地を装いながらも、近接すると遊び心を感じる小憎いボディと感じます。


トラディショナルとモダンが介在する生地を、額面通り仕立てに反映させるべく、フロントは1釦を採用しラペル幅はややワイドに。そしてフロントカットを遅逃げさせることでクラシックさを演出。

服地の物性を活かすべく、MTM – F のお仕立てコースで採用する一番柔らかいフルキャンバスを使用してドレープ感に敬意を払いました。


トラウザーズは、ベルトレス・サイド尾錠の仕様で、裾はシングルの仕上げになります。
同時にシャツのお仕立てと Albeni 1905 のプリントタイをご提案し、狙い澄ましたコーディネートをお楽しみ頂ければ嬉しく思います。

さて今回は、ライセンス生地の魅力についてもお届けした次第です。

工房のストックルームには、まだまだ秘蔵コレクションがありまして、当店のスタンスは買付価格を基準にした値付けに拘っております。需給のバランスを勘案してプレ値含めた時価でのご提案は行っておりません。

一つに風を読むのが面倒臭いのもありますし、掘り出し物がお買い得に見つけた際の高揚感が好きという理由があります。

物性と生地の状態は担保出来る生地のみ買い付けておりますので、この点もご安心頂ければ幸いです。


ファッション好きの方やビンテージの世界に魅力を感じる方は、予約が必要なお店ですが気軽に遊びにいらして下さい。服地トークで一緒に盛り上がりましょう。

皆様のご来店をお待ち申し上げます。




FABRICS

情報が整い次第、掲載致しますので、お待ち下さい。