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2026.01.16上品な素材で包む WOOL TRENCH

Made to measure – Wool Trench coat

1年かけて開発してきたトレンチコートが完成しました。


開発に至る経緯は、以下の4つが挙げられます。

① トレンチを格好良く着こなせる男性像への憧れ
② 重いコートやダウンの暑さは都内だと勝手が悪い
③ ドレスにもカジュアルにも着こなせる利便性の追求
④ ウール素材の着心地と現代的な価値観でデザインの再構築
⑤ 10月末から4月まで最長期間、着用可能なコートの必要性


こんな想いを抱えている時に、お客様よりトレンチコートのご依頼を頂いた次第です。


今回のコンセプトは「 Urbanism  :  日常 × 都会 」

トレンチを直訳すると”塹壕”となり、軍服をルーツとするプロダクトが故、その土臭さ無骨さがトレンチコートの魅力。
不倒にして金字塔のメンズドレスです。


これをミニマライズ(無駄なものを削ぎ落とす)させつつ、ウール素材の着心地・ドレープ・吸湿発散性を加えることで、上品かつ色気のある男性らしさに昇華させ、テーラード然とした本格的な仕立てを試みました。

前述の通り、トレンチコートは軍服がルーツ。
そう考えると、様々なディティールに実利と軍服の名残りを感じられます。

例えば、肩のエポーレットであれば、階級や部隊章、式典などの装飾などにも用いられ、胸にはガンパッチと呼ぶ布が通常は右胸のみにあり、ライフルの銃床を当てた際に本体の生地摩耗を防ぐ目的があります。

これらをミニマライズさせることで、現代的に上品に再構築。

特にガンパッチについてはイミテーション(機能のない飾り)にせず、風向きや利き手に応じて、フロント打ち合いを左右どちらにも閉じれるよう、シンメトリー(左右対称)のデザインと機能を加えており、首元のストラップも活用することで、ファッションとしても変化をお楽しみ頂きたく思います。


また腰のポケットにおいても、暖をとるための手の入れやすさは機能性として大切です。
そこで、ポケット口の両脇に釦を配置することで、ポケットの角度を必要以上に斜めに作らずとも、釦の開閉で口幅を確保し、デザインの気品と実用性、そして袖口のベルトループも含めトレンチらしい無骨さにも配慮した仕様になります。

また、襟を立ち上げた際のスロートラッチ( チン・ウォーマー )にも工夫を凝らしました。

脱着式です。

スロートラッチが縫い付けタイプで、襟を下ろした際にバックルが当たりゴロつく違和感を感じた方も多いと感じます。

バックルが付く受け手を前後に振ることで、襟を下ろした際は、スロートラッチの本体が反対周りで受け手とドッキングし、首後ろに収納することが可能になります。

製作サイドの観点では、縫製の工数や釦などの資材コストも増加しますが、この仕様が見た目にも機能面でもエレガントな装いを実現する一手になります。

本作を製作する前にディティールのイメージは固まっていたのですが、最大のキモである服地については非常に悩みました。

オーダー製品ですので、店内全ての生地を制約なく採用することが出来ますが、「 Urbanism : アーバニズム 」のコンセプトを体現するボディは何なのか。

そこにも、トレンチに対する敬意は必要で、色気がありながらも強い生地物性であることが世界観に整合性をもたらすと考え、業界の名品に託しました。

【 Wool Trench coat 】



CANONICO(伊)
21π COVERT CLOTH

Wool 100%
Weight 440 g / m

Fabric No. 2513 – 8581


2025 – 26 AUTUMU & WINTER
Fabric Price ¥75,000 + tax


別途 お仕立て代

PRODUCT LINE
MTM – Coat( MTM – C )

Sewing Price ¥200,000 + tax

ヴィターレ・バルベリス・カノニコ社の21マイクロン・カバートクロスは、耐久性と防シワ性に優れ、独特の光沢とスモーキーな表情が特徴の綾織り生地。 

非常に古典的な生地でもあり、元は狩猟着などに採用され、高密度で急傾斜の綾織紋様は水滴が入り難く外傷にも強い服地として重宝されてきた背景があります。

この物を継承しながらも、川上から自社のサプライチェーンを構築するカノニコの技術力で現代的な表情を吹き込んだ名品。



目付は、440g/m ヘビーウェイトと、軽量な通年向け 320g/m が存在し、近年、世界各地でスーツ・ジャケット・トラウザーズ・コートなど幅広いアイテムに採用されることで、カノニコの名声を高める逸品です。
毛質の太い21マイクロンは、私が求めるトレンチコートの無骨さに合致しながらも、上品な光沢とドレープ、そして強靭な物性は、非常に満足のいく仕立て上りになりました。



また、外気に影響を受け表面が冷たくなるコットン素材のトレンチに対し、人毛と同様にウール素材は呼吸をし、保温性も兼ね備える繊維。現代社会にとって最適解と言っても過言ではありません。

そして調達面でも、毎シーズン日本国内で数社が展開するボディであり、色の展開数も今シーズンであれば計15色、楽しめるのもお勧めの理由になります。

さてトレンチコートの縫製は、裁断するパーツ数の多さから縫製の工数が格段に上がり、既製品マーケットでも縫製工場は少数・専業の傾向が強い領域です。

よってオーダー受注が可能な工房は尚ニッチであり、本作の様なディティールに自由度があり体型の補正が可能な技術面を確保するのに大変苦労しました。

ビスポーク製品でリリースも可能ですが、やはり縫い慣れている専門性や納期の問題、そして現実的な価格設計。
特にオーバーコートですので、製品上がりにゆとりが大きい分、MTMでも高度な着心地を確保できると考えております。

今回のプロジェクトは、工房の既存型紙を当店でシルエットやディティールなどを大幅にモデファイして別注品を構築しました。当然ながら、ご注文の案件毎に表地だけでなく、各寸法やディティールをお客様のご要望に応じて変化させることが可能です。


また別注の拘りに、ウエストベルトの長さも重要視しております。
既製トレンチで、ベルト丈が短くアレンジをし難い経験がある方も多いと感じます。

本作は、お客様のウエスト寸法から160cmで仕上げ、前で結ぶと長めのベルト丈が洒脱な印象に変わります。
また着丈も膝下ロングを推奨しております。

これに合わせて、さらに着脱式のライナーを製作。
店内ストック生地 Savile Clifford(英)の目付 360g / m フランネルを使用し防寒性を完備しております。

ファッションとしても見た目に華やかさが加わりますし、着脱することで、10月末から4月までコートとしては最長期間で着用をお楽しみ頂ければ幸いです。


最後の仕上げに、ベント部分にスプリット式のインバーテッドプリーツを採用。
着丈が長いコートですので、電車の中で座る際に釦を外しておくと、紳士的な所作にも一役買う仕様もコンセプトの一つです。

防シワにもなりますので、細部に対してもテーラード然とした機構を盛り込んた1着です。

ライナー製作工賃  ¥ 25,000 + tax( 生地代別 )

スプリット式インバーテッドプリーツ 標準仕様

今回は長文となりましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございます。


トレンチコートはマーケットに数多ありますが、自分自身が着たい。そしてプロダクト背景に敬意を持ちながら現代的に落とし込むコートが仕立てたく尽くした次第です。

私の着用分が仕立て上がりました、着姿を投稿します。
Instagram のチェックを宜しくお願い致します。


ぜひ、ご自身拘りのトレンチコートを求め、人生長く着用した方のご相談をお待ち申し上げます。


納期 : 60日(時期によって前後あり)
Wool Trench coat ¥272,800 〜 in tax



スプリングコートとして3月着用をご検討の方は、今時期のご注文がお勧めです。
そして稲刈りが終わった頃に再度お召し頂き、冬が来ましたらライナーを装着してご愛用頂けますと幸いです。


また数年後にはライナーのみ製作し、雰囲気を変えてお楽しみ頂くのも素敵だと感じております。




FABRICS

情報が整い次第、掲載致しますので、お待ち下さい。