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2026.01.13王道にして頂点を目指す Conservative

MTM – House cut
「 年齢も時代も越えて長く着用したい 」そんなご要望のある方にお届けしたい定番スーツのご紹介です。
そして今回ブログは、私の思考整理も兼ねて、少しロジカルにアカデミック含め書き綴ってみますのでお付き合い頂ければ幸いです。
メンズドレスの世界にも、Conservative(直訳:保守)というジャンルがあります。
例えば、「 ビジネスシーンに相応しいスーツが欲しいです 」こんなご要望があったとします。
まず頭の中で「 どんなお仕事ですか? 」と考えますが、質問に質問で返すのも面白くないので、初手はコンサバティブの有用性をプレゼンテーションして、お客様のビジネスについて掘り下げ、理解を深められるよう努めます。
“保守” と言われると思想が強く聞こえる方もいるかもしれません。
コンサバティブの対義語は “リベラル” になりますが、『 ご自身が与える印象を可能な限り多数の方に色良く捉えてもらいたい 』と思うからこそ、「 ビジネスシーンに相応しいスーツ 」というご要望に至る訳です。
そうでなければ、そもそも「私の仕事は◯◯で、◯◯なシーンで着用を…」と具体でご要望をお伝えになるかと思います。
こう考えると、まだ見ぬ珍しい服装に対して、既視感のある “保守” は、ビジネスシーン全般の多数派形成に打ってつけの装いとなります。
とは言え、既視感のある装い = 量産型なのでは? と、脳裏をよぎります。
だからこそ、メンズドレスの世界では「 王道にして頂点を目指す 」ことに意義が帯び、ある種、定番を極め洗礼された装いに憧れが集まるのだ感じております。
本日は、そんなビジネスシーンにおけるコンサバティブな1着の話し。

お客様の寸法・体型を基に型紙から製作
本作のお仕立てコースは「 Made to measure House cut 」
MTMの中には、ブランドや個店オリジナルの型紙を使用してお仕立てする領域がありますが、このお仕立てコースは、ビスポークと同じように今回のご注文に応じて、お客様オリジナルの型紙を製作するところから始まります。
本作は普遍性を追求しながらも、ゴージラインや刻み(ラペルと上衿の空間)にフワリと香る作家性を表現しました。また袖付はロープドまでは立たせない程度に袖山の立体感を演出。
ジャケットの顔になる部分ですので、王道のコンサバティブを目指し、お客様の体型とご要望を鑑みながら型紙を製作しております。


型紙製作と裁断・仮縫の縫製は、当店・日本橋の工房内で組み立て、ご注文の約1ヶ月後に初回仮縫を行います。
MTM – F( Factory cut )と比べ、コンパクトなアームホールや胸のボリュームと背中のくびれ、首から肩の吸い付きと肩周りの可動性など、拘るポイントは多岐に渡ります。
ざっくり言うと『 必要最小限のゆとりでありながら、動きやすい洋服 』
これが究極のテーラリングだと考えております。
当然ながら細く作ることが主眼でもありませんし、お身体にあわせ過ぎることの弊害もあります。
だからこそ、テーラーという職業は面白いのかもしれません。




【 SUITING 】
Domestic(日)
WOOL 100%
Premium Super 120’s Stretch
Weight 280 g / m
Fabric No. PR5511-CG
2025 – 26 AUTUMU & WINTER
Fabric Price ¥35,000 +tax
別途 お仕立て代
PRODUCT LINE
MTM – House cut( MTM – H )
本生地は国内のマーチャントが企画したボディ。
バンチ(生地見本帳)に収録するラインナップは、モダンからトラディショナルまで幅があり、全体を通してのコンセプトは価格訴求と感じております。
メンズドレス入門から中級としては、十二分なクヲリティかつ、ワードローブに1着は保有したいファブリックが150色柄、編集された一冊。
またプライシングが非常にお手頃なのが素晴らしく、生地ブランドまでは掘り下げないステータスのお客様にご紹介させて頂いております。
今回は、派手さのない細幅のヘリンボーン × チャコールグレーを服地に選定。
生地表面の毛羽をクリアカットすることで、S120’s の原毛の滑らかさとドレーピングが際立つ魅力の1着になりました。
「 王道にして頂点を目指すコンサバティブ 」がコンセプトですので、この手の生地はワードローブに押さえるべきスーツとしてご提案しております。
定番スーツは時に、スクランブル的な着用を求められるからこそ、夏を除き年間通して袖を通せる物性なのもお勧めのポイントです。



MTM – House cut では、当店の技術と世界観をしっかりと表現することも重要になりますが、技術面でのアイコニックに肩線のセットバックが挙げられます。
セットバック(肩の縫い目が後ろに向かう)によって、肩先に空間を確保しなら肩に収まり、腕を前に振った際の背中のゆとりがストレスのない可動域と心地の良い前肩を生み出します。
縫製のし難さによって工業製品には不向きな工芸的なアプローチです。
案件ごとの型紙投入やこういった縫製仕様を実現する縫製工場との取組みも当店の強みだと考えております。
ぜひビスポーク製品がお好きで、現実的な価格でオーダーを楽しみたい方にお勧めしたいお仕立てです。
お客様ご自身の型紙製作に憧れの方のご注文をお待ち申し上げます。

